学生時代…
バイト先の先輩にSR乗りがいた。

ボクもSRというバイクは好きだけど
この先輩も、かなりSRに入れ込んだひとりだった。




マフラーを換えただけでほぼノーマル。
あまり目立たないバイクだったけど、小綺麗によく整備されたSRだった。






その先輩が、
ある日突然、限定解除に挑戦し始めた。






当時は超難関といわれた大型免許…。

教習所などない時代。
飛び込みの一発試験しか大型免許を取る手立てはない。

1回や2回で絶対に合格なんてまず夢の話。
5回6回は当たり前…。
10回以内で取れれば万々歳。

そんな限定解除にその先輩はチャレンジし続けた。




最初のうちは僕ら仲間内でも応援してたけれど
あまりに回数を重ねるうちに…

「もう無理じゃん?」
「やめたら?お金と時間…もったいないし」

そんな冷たい言葉も…





そんなこんなで1年くらい経ったある日。
先輩はついに試験に合格した。

20回近いチャレンジだったらしい。



バイト仲間はもうみんなでお祭り騒ぎ。
「やったぁ! おめでとぉぉ!」
「すごい根性!」
「さすがは先輩っっ」

当然、僕らは先輩の選ぶ大型バイクに興味津々。
「で、何乗るんっすか?」
「やっぱ…GPz?」
「もしかしてFZ750?」



ところが、彼が選んだバイクは…SR500だった。

「はぁ?SR500???」
「な、なんでぇぇ?」

仲間内だれもがびっくり仰天…
でも、彼は当然のような顔をして…

「だって、俺…これに乗りたかったんだもん」


sr5a



SR400から500へ。
馬力はたった5馬力増えただけ…

そのための必死の限定解除。




当時は、どうしても解せなかった彼のSR500という選択…

でも、今になって思えば
なるほどな、それもアリなんだよなぁ…と素直に頷ける気がする。





僕らは、750や1000といった排気量でバイクを選ぶんじゃない。
100馬力が欲しいから、バイクを走らせるのでもない。

ましてや、見栄やカッコだけで跨がるバイクなんてつまらない。



本当に好きなバイクに乗りたい。

彼の場合はそれがたまたま…
32馬力の500ccのバイクだった…というだけ。





「俺…これに乗りたかったんだ…」

さりげなく…
このひとことが言えるバイク乗りになれたらいいな。