ShortStory

「彼女」と初めて出会った日

あれは
2012年の2月…だった。


HONDAからNewモデルが登場。



なにやら新しいコンセプトで
新設計のエンジンを搭載し…?


当時のぼくは、「ふぅ~ん」って感じだった。










で、どんなバイクだ?

冷やかしがてら
ぼくは、Big1を走らせてHONDAのDream店に向かった。








「へぇ、Newモデルってこんなバイクかぁ」
「名前は…? ん? NCっていうんだ?」

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なんか、あんまりぴんとこないバイクだなぁ

それが
初めて「彼女」…NC700Xと対面したときの第一印象。









「Big1ですね。乗り換えですか? 試乗OKですよ?」
「いやぁ、ありがと。でも、あんまり興味ないからいいです」



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こんなバイク…売れるのかなぁ
HONDAも思い切ったことをしたもんだなぁ…


このバイクよりも
ぼくはそのとなりにあったVTRに興味津々。

試乗会で跨がって以来
セカンドマシンとしてほしいなぁとずっと思っていた。

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その日はVTRの見積もりを書いてもらって帰宅。

(VTRは残念ながら、購入には至らなかったけど…)














・自分的にはスタイルが受け入れられない
・樹脂パーツ多用のチープな造り
・5000回転までしか回らないエンジン
・大型にしてはあまりに非力


NC700Xに対して
当時のBlog記事にこんな辛辣な文言を連ねた覚えがある。












それから3年。

今うちのガレージには
NC700Xがデンと鎮座している。


わからないものだよなぁ 

あれだけ、けなしていたこのバイク。
今では、心から頼れる旅の相棒になっている。

しかも、大のお気に入りのマシンとして…(笑)








さぁ、
この週末も天気の心配はないみたい。

「彼女」を連れ出して、ひとっ走り…出かけようか。








 

あの大震災とSRX

その日の夜明け。

もうすごい揺れと
これまで聞いたこともないような轟音で

ベッドから飛び起きた。


部屋の家財道具はもうめちゃめちゃ。
あちこちの窓が割れて、
居間のカーペットの上はガラスの破片だらけ…。

毛布にくるんだ我が子を抱きかかえて
一目散で、近所の小学校のグランドへ。




夜が明けて
そこに現れたのは、見るも無惨な我が町。






悪夢だった…。
新築して半年の家が半壊に。

ガレージの車もボロボロ。
家の中の部屋は、もう足の踏み場もない状態…。





当時乗っていたオートバイは、YAMAHAのSRX。
崩れたガレージの屋根の下だった。

でも、
あの大震災の中
オートバイなんて、もうどうでもよかった。



知人や親戚の安否確認を急がなくては…
そして
我が身自身
今から何をどうすればいいのか…

途方に暮れる…
その言葉がまさにぴったりの朝だった。















愛車SRXのキックを踏み下ろすことができたのは
あの日から半年後。

季節はもう、夏を迎えようとしていた。




ガレージにずっとほったらかしだったSRX。

ベコベコに凹んだタンク。
車体のあちこちに浮かび始めた錆び。

埃まみれになった愛車を見て
なにか、たとえようのない虚しさを覚えた。


いつまでも凹んでて…どうなる?
もう一度、
こいつにまたがってみようか…。









その夏の終わり
修理を終えたSRXとともに、ぼくは九州に渡った。




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神戸ナンバーのバイクを見て
いろんな人が温かい声をかけてくれた。


「そうだよなぁ」
「くよくよしてても、どうにもならない」
「がんばらなきゃな…」




凹んだボクに、
十分すぎるほどの元気をくれた九州の大地。

そして、
ツーリングの楽しさを思い出させてくれたSRX。










悲しいことや辛いこと…
バイクに乗れば、それが吹っ切れるわけではない。

でも
いろんな思いを引きずりながらでも
バイクに跨がることで
少しずつ前向きになれる僕らがいる…。



20年前
608ccのシングルエンジンはそれを教えてくれた。





 


 

あいつからの年賀状

あの頃、
結婚を機に
二輪を降りるバイク仲間は少なくなかった。


あいつもその一人だった。

「ぼちぼちバイクは…卒業だよ」
「所帯もって、バイクなんてちょっとね?」
「嫁さんにも反対されたしさ…」


GTサンパチに跨がって
クラブの連中とあちこちいっしょに走りまわってたあいつ。
バイク最高!なんて叫んでたくせに…

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そんなあいつから、年賀状が届いた。
手にとって…えっ? と一瞬驚く…。 




あいつと奥さん…仲良く並んだ写真。
 
足元には二つのヘルメット。
そして、大型バイクの写真。


なんで?? あいつがバイクに?
しかも… ハーレー?




 

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リターンして大型免許を取りました。
かみさんも今、普通二輪を取りに行っています。
また、走りたいです。
ツーリング誘ってくださいね。
----------------------------------------------------------------


こいつ…何でまたバイクに?
しかも、奥さんといっしょに?
なにそれ?



ばかたれが…
今さら、お前なんか誘うわけないだろが…。




その年賀状…
返信なんかしてやるものか。
机の引き出しに押し込んでおいた。


でも、なぜかあいつの新しいメアドをメモってしまう自分がいた…。




馬鹿たれが
 
誰がお前なんか誘うものか…(笑)




※本記事中の画像はイメージです









あの日のバイク乗りたち 

「よぉ! 思ったより元気な顔してんじゃん」
「無事でよかった、よかった」


あの大震災の数日後。


ボロボロに壊れた我が家の前に
3台のオートバイが停まった。






がれきの街を
駆け抜けてきてくれたバイク仲間だった。



「バイクじゃ何も積めないけど…」

そう言う彼らのバイクのリアバッグには
めいっぱい詰め込まれたカップ麺。


崩れかけた石垣に腰掛け
いっしょにすすったラーメンの味は
涙が出そうなくらいの美味さだった。




「で、SRXは無事だったか?」
「ぃや…しっかり転がってたよ」

「そっかぁ 大事に乗ってたのになぁ」



そういう彼らのバイクも
カウルやマフラーがボロボロ。

がれきだらけの道を
数十km…走りぬけてきてくれたのだから。



「まぁ そぉ気を落とすなや」
「またいつか 乗れる日が来るわな」






日が沈みかけたでこぼこ道を
走り去っていく3台のオートバイ。

ボクは
いつまでもいつまでも…見送っていた。















【ShortStory】海に行こうか 俺のZで♪

バイク乗りは…モテる♪


まだ、若かりし頃…
そういう幻想を抱いていた。







彼女と知り合ったのは
とあるサークル主催の合コンの席。

同じ学生同士
初対面でもお酒が入れば自然と話が弾む。

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当時、流行していたフォークソング。
ボクも彼女も
かぐや姫の大ファンだということで
他のメンバーそっちのけでぼくらは盛り上がっていた。


これはもしかして…脈ありか?

コンパもお開きになろうかというとき
彼女の耳元でささやいている。


「なぁ いっしょに…海行かない?」

「わぁ♪ いきたぁぁい 連れてって~」

心の声 : やったぁ ばっちり♪ (* ̄∇ ̄*)エヘヘ


「Zに乗せてあげるよ」

「えぇえ!ほんとぉ? Zに乗ってるのぉぉぉ!」




きらきら輝く彼女の目♪

別れ際にお互いのTel番交換。
※注:当時はケータイやメールなんてものはない…




約束は次の日曜日。

やったぜ… おいらの青春の幕開けジャンっっ


「おめぇ やるじゃん!」
「もぅデートの約束かよぉ」

さかんにうらやましがるサークル仲間。

・・・・へっ バイク乗りってもてるんだよ
と、心の中で何度もつぶやいてみるボク。













そして… その日がやってきた。

革ジャンに身を包み
新品のヘルメットをリアシートにくくりつけ

さぁ♪ Z400で待ち合わせの駅前へ…

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いたいた♪
ロータリーの向こうに彼女。

手を振ってみたけど、気がつかない?
じゃ…ヘルメットを脱いで…

「やぁ 待たせてごめん♪ いこっか」





でも… 返事がない…





「ぇ? ど、どしたの?」

凍り付いたような目でボクを見つめる彼女…。




沈黙が流れる…

なんなんだ? この沈黙の間は…???





そして、
聞き取れないほどの小さな声で彼女が…

「な、なんで…バイクなの…」






「はぁ?…」


「うそ…でしょっっ なんなの?」


「はぁ?…」


「フェアレディ…じゃ…なぃの?」


「はぁ? なにそれ?」





「ごめんね」

ひとこと残して走り去っていく彼女…
Zのそばで、わけわからず立ち尽くすボク…







フェアレディZ…
そんな車があることを知ったのは、そのあとだった。






バイク乗りはモテる… それは幻想

あれから30年たった今でも、それは疑わない…。


※画像はイメージです

【ShortStory】こいつ…やる気か?

通勤帰路のバイパス。





ボクのBig1にピタッと付いてくるバイクが一台。

甲高いマルチの音。
明らかにヤンキー仕様の紫色のバリオス....。




ヤなやつがくっついてきたもんだ。

 



信号待ちでピタッとCBの隣につけると、
何かメット越しに言いたげな様子。



関わるのは面倒だ。

信号が青に変わると、Big1はドバッと嵐の加速。




 

ふん、なめてんじゃねぇぞ....
こちとら旧車と言われてもBig1。

腐っても鯛! ぼろくてもBig1っっっっ!



リッター四発に、勝てると思うなよっ!


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ぐっと加速して、突き放す。


それでも、必死で食らいついてくるバリオス。
信号を超えるたびにこの繰り返し。







 

そして大通りの信号で2台並んで停車。
 


なんじゃぃ、こいつ。しつこい奴....。


 

隣に目をやれば、こちらを向いて何か言いたげな様子。

ん?なに?なに?なんだっ??

 



メット越しに必死で何か叫ぶバリオスのヤンキー兄ちゃん。

 
「あのぉ!聞こえますかぁ~」
「な、な、なんじゃいっ!」










「あ、あ、あのぉ~ テールの球、切れてますよぉ~」
 

あ゛ぁぁぁ....ありがと....ぉぉぉ (゚Д゚≡゚д゚)エッ!?



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※画像はイメージです

【ShortStory】 頑固オヤジとCB50

「おまえは手入れが悪い!」
「たまにはバイクを磨いてやれ!」
「へたくそがぁ、また転かしたかぁ」



学生時代、バイト代貯めてやっと買った中古のCB50。
でも、その店の店主が、絵に描いたような頑固オヤジ。

ホントにうるさいオヤジだった。
立ち寄るたびに聞かされるのは小言、文句ばかり。

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でも、仲間内ではなかなか腕のいいShopとの評判。

あまり長居したい店ではなかったけれど
バイクの調子が悪いときは
ぼやかれるのを承知で預けるしかなかった。





そんなある日
ボクは中型二輪免許を取得した。

選んだバイクはKawasakiの400…。
あのオヤジの店とはちがう店で見つけた一台。


もう400が、めちゃ楽しかった。
新しいカワサキのお店に入り浸り…。

原付のCB50なんて
調子が悪くなってオヤジのあの店に預けたまんま…。

いや、預けたことさえ忘れていたかも?

別に売ってもらうか処分してもらってもいいや
もう原付なんて乗ることないし…








それは夏の終わり…だったと思う。
仲間と400を連ねてツーリングに出た帰り道。

偶然通りかかったあのオヤジの店。


「ちょっと久々に寄って見るか?」
「あの文句たれのオヤジ…どしてるだろ?」


でも、店にはあのオヤジはいなかった。





カラダ壊して入院して
その店は、息子とおばちゃんに任されていた。

「あのオヤジ…入院したんだ」
「あんな元気だったのにな…」




そして
早々に店を出ようとしたそのときだった。

ボクは…「それ」を見てしまった。



店の奥に見覚えのあるバイク…

そう…  ボクのCB50だった。




ぴっかぴかに磨き上げられ
まるで別物のバイクかと思うくらい…


「あ、あのバイク…」
指さすボクにおばちゃんが教えてくれた。

「ああ あれね? 預かり物のバイクなんだとか…」

「え…」

「しっかり整備しておいたから、持ち主が取りに来るまで絶対に置いとけって」


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1ヶ月後…
オヤジが店に戻ったと聞いて、ボクはあの店を訪ねた。

CB50にまたがって…





お礼の気持ちで
ボクが差し出すクッキーの箱を見たオヤジ…

「ばかたれがぁ 年寄りがこんなもん喰うかっ」


いつもの文句垂れながら…でも受けってくれたオヤジ。




油まみれの手が
その日はなぜかとてもおおきく…  見えた。

※画像はイメージです

【ShortStory】 まだバイクなんか乗ってるのか?

「まだバイクなんか乗ってるのか?」
と、彼は笑った。



何年ぶりだろう…
久しぶりに再会した旧友と居酒屋で杯を交わす。


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学生時代…。
ボクはSR、彼はサンパチ
いっしょにつるんでよく走ったものだった。


休みの日には2台で遠乗りもした。
寝袋一つだけ、リアシートにくくりつけて…。


お金はなかったけど、
ただ走ってるだけで楽しかったあの頃。










就職が決まり、彼は上京した。
以来、連絡もぷっつり途絶えてしまった彼と
ひょんなことから再会。

あんなことやこんなこと…
時も忘れて懐かしい思い出話に花が咲く。






お互いのデジカメを開いて近況を語り合う。

彼のデジカメには、ゴルフの画像。
ここ数年、かなりハマっているらしい。
腕もなかなかいいみたいだ。
いろんなトロフィーや景品を抱えて満面の笑みの彼。



ボクのデジカメはCBばかり…。
Big1と走ったTouringの画像。

「へぇ~ おまえ、まだ乗ってんのか?」
「変わらないなぁ。いい歳して…まだバイクかよぉ」


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「おまえは…変わったなぁ。あれだけバイクぞっこんだったのに…」

思わず口にしようとしたそんな言葉を
ボクは、ぐっと飲み込んだ。






「ぼちぼち出ようか」

手洗いに立ち、座席に戻ってみると
彼がボクのデジカメの画像にじっと見入っていた…。



「何見てんの?」
「ぃ、ぃやぁ べつに…」





二人で店を出た。


駅までいっしょに歩き、改札口で彼を見送る。

別れ際…
彼がぼそっとつぶやく。









「なぁ…ちょっと聞いていい?」
「なに?」




「ぁのさあぁ… 今、大型二輪の免許って、いくらくらいかかる?」

「知らないよぉ… ゴルフを何回か我慢すりゃ取れるんじゃないの?」

「そっか…」




改札の向こうで笑っているのは…
確かに、あの日の「彼」…  だった。

【ShortStory】バイク通勤は遠慮して欲しいんだが…

仕事の勤務地が変わった。


新しい勤務先に、ボクはCBで出勤した。
職場に着くと、早々に上司からの呼び出し。
 
「うちの職場ではバイク通勤は遠慮して欲しいんだが....」
「は、はい。すみません。わかりました....」


この上司…前から噂に聞いていたけれど、
かなり神経質で、口うるさそうな人。

仕事の内容についても、
ホントに事細かい…シビアな上司だ。

みんな煙たがってる…。
やっぱりなぁという感じ。










 
それから1ヶ月ほど経ったある日…。その上司が声をかけてきた。

「次の土曜日、無理を言うけど出勤してもらえないか?」
「え?はぁ…」
「明日は久しぶりにバイクで来なさい。休日出勤だからね」
「は、はぃ…?」
 
わけがわからないまま…
その日、ボクはCBで出勤した。

裏門から入り駐輪場に向かうと、そこにゴールドウイングが一台…。
「ぇ? 見慣れないバイクじゃん…?」

少し離れたところにCBを停めてヘルメットをぬぐと
事務所の玄関から革ジャンに身を包んだライダーが…






「ええぇぇっっ」
思わず驚きの声が…

ヘルメットを抱え、ニコニコ笑ってるのは…あの上司だった。


「今日、時間あるか?」
「は、は、はぃっっ」
「ちょっくら行こうか? 昼飯おごるよ」

すっかり打ち解けてしまったボクと上司。
職場の上下関係の枠をとっぱらったライダー同士の時間。

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職場では部下から鬱陶しがられる堅苦しい上司…。
しかし週末には、
どでかいバイクを自在に駆る、気さくなひとりのライダー。


ONとOFFを憎いくらいきっちり使い分ける…

そんな彼に
ぼくはいつしか親近感と尊敬の念を抱くようになった。








それから何度か週末になると
CBとゴールドウイング…2台で走るTouringを楽しんだ。


もちろん、勤務時間中はバイクの話題は一切なし。
僕ら二人の暗黙の了解。









その日は、5月連休の中日。
ホントよく晴れた朝だった。


あまりに気持ちのいい天気だったので、
ボクはこっそりとCBで出勤してしまった。


今日ぐらいいいよな…



しかし、早々に彼に呼ばれる。

「うちの職場ではバイク通勤は遠慮して欲しいんだが....」
「は、はぃ、つ、ついうっかり…」
「で… 明日は空いてるか?」



彼の目が笑っている。
僕の目も…笑っていた。






【ShortStory】 たった32馬力のための限定解除

学生時代…
バイト先の先輩にSR乗りがいた。

ボクもSRというバイクは好きだけど
この先輩も、かなりSRに入れ込んだひとりだった。




マフラーを換えただけでほぼノーマル。
あまり目立たないバイクだったけど、小綺麗によく整備されたSRだった。






その先輩が、
ある日突然、限定解除に挑戦し始めた。






当時は超難関といわれた大型免許…。

教習所などない時代。
飛び込みの一発試験しか大型免許を取る手立てはない。

1回や2回で絶対に合格なんてまず夢の話。
5回6回は当たり前…。
10回以内で取れれば万々歳。

そんな限定解除にその先輩はチャレンジし続けた。




最初のうちは僕ら仲間内でも応援してたけれど
あまりに回数を重ねるうちに…

「もう無理じゃん?」
「やめたら?お金と時間…もったいないし」

そんな冷たい言葉も…





そんなこんなで1年くらい経ったある日。
先輩はついに試験に合格した。

20回近いチャレンジだったらしい。



バイト仲間はもうみんなでお祭り騒ぎ。
「やったぁ! おめでとぉぉ!」
「すごい根性!」
「さすがは先輩っっ」

当然、僕らは先輩の選ぶ大型バイクに興味津々。
「で、何乗るんっすか?」
「やっぱ…GPz?」
「もしかしてFZ750?」



ところが、彼が選んだバイクは…SR500だった。

「はぁ?SR500???」
「な、なんでぇぇ?」

仲間内だれもがびっくり仰天…
でも、彼は当然のような顔をして…

「だって、俺…これに乗りたかったんだもん」


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SR400から500へ。
馬力はたった5馬力増えただけ…

そのための必死の限定解除。




当時は、どうしても解せなかった彼のSR500という選択…

でも、今になって思えば
なるほどな、それもアリなんだよなぁ…と素直に頷ける気がする。





僕らは、750や1000といった排気量でバイクを選ぶんじゃない。
100馬力が欲しいから、バイクを走らせるのでもない。

ましてや、見栄やカッコだけで跨がるバイクなんてつまらない。



本当に好きなバイクに乗りたい。

彼の場合はそれがたまたま…
32馬力の500ccのバイクだった…というだけ。





「俺…これに乗りたかったんだ…」

さりげなく…
このひとことが言えるバイク乗りになれたらいいな。















【ShortStory】 400ガンマの彼女

いつものShopに立ち寄ると
ぴっかぴかの400ガンマが置いてあった。




「ね、ね だれが乗るの? これ」
「へっへ、だれだと思う?」
オヤジはニコニコしながら指さした。



店のカウンターにちょこんと座ってる女の子。 

「えええっっ?」




以前からときどきお店で見かけることがあった彼女。
小柄でおとなしそうな女の子…。
ほとんど口聞いたことなかった。

たぶん…CBX125? だっけ
乗ってたはずだけど?

「中型とって、一番速いバイク乗りたいっていうから…」 
「えぇぇ それで400ガンマ???」

rg400a






以来、ときどき
Shopのツーリングに参加するようになった彼女。

400ガンマで…





その彼女のめちゃ速かったこと。
ぼくらポンコツのナナハンなんてまったくついていけない。

高速なんて走ろうものなら
あっという間に彼女のガンマは遙か彼方に…

後ろを走る僕らは
いつも彼女のガンマのオイルをいっぱい浴びる…



でも、
本当に嬉しそうにガンマを走らせる彼女。
その笑顔見てるだけで
僕らはなんだかめちゃ楽しい気分になれた。







それから半年ほど経ったある日
僕らは、店頭にそのガンマを見つける。

価格札がぶら下げらた彼女のガンマ…。



「なんで? 彼女、売っちゃうの?これ…」
「結婚するんだって。旦那が降りて欲しいって…」


なんだか割り切れない寂しさを覚えた僕ら…。

あんなに楽しそうにガンマを走らせていたのに
ほんとに降りちゃうんだろうか…バイクを




人間にはふた通りある
バイクに乗る人間と乗らない人間…

そんな言葉が頭をよぎる。







あれから20年
彼女…どんなおばさんになってるんだろう。

もうきっぱりバイクとは縁切った人生なのかな?
それとも
もしかしたら…






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