「まだバイクなんか乗ってるのか?」
と、彼は笑った。



何年ぶりだろう…
久しぶりに再会した旧友と居酒屋で杯を交わす。


an001



学生時代…。
ボクはSR、彼はサンパチ
いっしょにつるんでよく走ったものだった。


休みの日には2台で遠乗りもした。
寝袋一つだけ、リアシートにくくりつけて…。


お金はなかったけど、
ただ走ってるだけで楽しかったあの頃。










就職が決まり、彼は上京した。
以来、連絡もぷっつり途絶えてしまった彼と
ひょんなことから再会。

あんなことやこんなこと…
時も忘れて懐かしい思い出話に花が咲く。






お互いのデジカメを開いて近況を語り合う。

彼のデジカメには、ゴルフの画像。
ここ数年、かなりハマっているらしい。
腕もなかなかいいみたいだ。
いろんなトロフィーや景品を抱えて満面の笑みの彼。



ボクのデジカメはCBばかり…。
Big1と走ったTouringの画像。

「へぇ~ おまえ、まだ乗ってんのか?」
「変わらないなぁ。いい歳して…まだバイクかよぉ」


an002




「おまえは…変わったなぁ。あれだけバイクぞっこんだったのに…」

思わず口にしようとしたそんな言葉を
ボクは、ぐっと飲み込んだ。






「ぼちぼち出ようか」

手洗いに立ち、座席に戻ってみると
彼がボクのデジカメの画像にじっと見入っていた…。



「何見てんの?」
「ぃ、ぃやぁ べつに…」





二人で店を出た。


駅までいっしょに歩き、改札口で彼を見送る。

別れ際…
彼がぼそっとつぶやく。









「なぁ…ちょっと聞いていい?」
「なに?」




「ぁのさあぁ… 今、大型二輪の免許って、いくらくらいかかる?」

「知らないよぉ… ゴルフを何回か我慢すりゃ取れるんじゃないの?」

「そっか…」




改札の向こうで笑っているのは…
確かに、あの日の「彼」…  だった。